Cloudflareの「cf」は、Webサイトの設定やアプリの公開を、文字の命令で行うための道具です。AIにも扱いやすく作られており、「AIが使うCloudflareのリモコン」と考えるとイメージしやすくなります。
2026年9月28日に発表され、現在はベータ版として公開されています。公式発表と9月30日時点の公式ガイドをもとに、何が便利になるのかを説明します。実機レビューではありません。
まず、Cloudflare・CLI・APIって何?
知らない言葉が続くと難しく感じますが、役割を分ければ整理できます。
| 言葉 | やさしく言うと |
|---|---|
| Cloudflare | Webサイトを公開したり、通信を守ったりするためのサービス |
| CLI | ボタンを押す代わりに、文字で命令する操作方法 |
| API | ソフト同士が「この情報を見せて」「この設定を変えて」とやり取りする窓口 |
| AIエージェント | 依頼を受け、道具を使って作業を進めるAI |
画面から設定するなら、人がメニューを開いてボタンを押します。cfを使うなら、人やAIが決まった命令を入力して操作します。
cf自体が会話するAIなのではありません。AIに持たせる操作道具です。 人が直接使うこともできます。
Cloudflareそのものを知りたい方は、Cloudflareの機能をまとめた記事も参考にしてください。
cfでできることは?
公式ガイドでは、公開APIを操作する2,900以上のコマンドを案内しています。コマンドとは、コンピューターに渡す短い命令のことです。
| 対象 | できることの例 |
|---|---|
| DNS | ドメイン名と接続先を結び付ける「住所案内」の設定を確認・変更する |
| ストレージ | ファイルなどを保存する場所を管理する |
| セキュリティ | サイトを守る設定を管理する |
| Workers | Cloudflare上で動かすプログラムを作り、試し、公開する |
他人のサイトを自由に変更できるわけではありません。自分がログインし、権限を持つ範囲で使います。
今回の発表で、何が新しい?
Cloudflareの発表で押さえたいのは、AIが操作を探しやすく、結果を読み取りやすい設計になったことです。
従来のWranglerは、主にWorkersの開発で使われてきた道具です。cfは、そこからCloudflareの幅広い操作へ対象を広げています。
結果は基本的にJSONという整理されたデータ形式で返ります。文章の中から必要な情報を探すより、AIやプログラムが項目ごとに取り出しやすい形です。
Workersの設定には「cloudflare.config.ts」という新しいファイル形式を使います。設定項目の候補を表示したり、入力の間違いを見つけやすくしたりする仕組みです。開発の土台にはViteも採用されています。初心者はまず、AIが設定を扱いやすくなり、作る人も確認しやすくなる変更と捉えれば十分です。
例えば、こんな頼み方が考えられる
以下はテクノシルが考えた活用例です。実際に検証した成果ではありません。
例えば、自分のサイトが開かなくなったとします。AIに「直して」とだけ頼むより、最初に調査範囲を決めると、結果を確認しやすくなります。
私のドメインのDNS設定を確認し、現在の接続先を一覧にしてください。設定の変更や削除はせず、気になる点と確認方法を説明してください。
別の例は、練習用アプリの公開準備です。
このアプリを公開するために必要な作業を整理してください。まず手元で動くことを確認し、公開先と料金に関係する設定を説明してください。公開は私が確認してから進めてください。
これはAIへの依頼例であり、cfにそのまま入力するコマンドではありません。依頼文だけで誤操作を完全に防げるわけではないため、使うAI側の実行承認やCloudflare側の権限も合わせて設定します。
始め方:まずは「見るだけ」から試す
公式の導入手順では、CloudflareアカウントとNode.js 22.18以上が必要です。Node.jsは、この道具をパソコンで動かすための実行環境です。
準備できたら、WindowsのPowerShellやMacのターミナルなど、文字で命令を入力する画面を開きます。次のコマンドは1行ずつ実行してください。
npm install --global cf
cf --version
1行目でインストールし、2行目で入ったバージョンを確認します。続いてログインします。
cf auth login
cf auth whoami
ブラウザが開いたら、許可する内容を本人が確認します。Wranglerにログイン済みでも、cfには別途ログインが必要です。
最初の操作は、管理できるドメインの一覧を見るだけにしましょう。
cf zones list
ここでのzoneは、Cloudflareで管理するドメインのまとまりです。登録状況によっては一覧が空でも不思議ではありません。
AIはどうやって操作を探す?
AI向けガイドでは、「探す → 内容を確認する → 実行前に確かめる」という流れを示しています。
例えば、データベースを作る命令を探すなら次のように入力します。
cf cli search "create D1 database"
この検索自体は、データベースを作りません。使えそうなコマンドを探すだけです。検索は手元で動き、ログイン情報も不要です。
候補の仕様を調べ、送信予定の内容を確認する例はこちらです。
cf schema d1 create
cf d1 create --name practice-database --dry-run
--dry-runは、この例ではAPIへの要求を送らずに内容を確認するための指定です。図工でいえば、材料を切る前に設計図を確認する段階。ただし、実際に動かしたときの成功や費用まで保証するものではありません。
Wranglerから、今すぐ乗り換えるべき?
動いているサイトを、ニュースを見ただけで急いで移す必要はありません。 cfはベータ版で、正式版までに仕様が変わる可能性があります。
Wrangler利用者向けの公式ガイドでは、既存プロジェクトを変えずにcfのリソース管理コマンドを併用できるとしています。一方、開発・ビルド・公開をcfへ切り替える場合は、設定の移行が必要です。
移行を検討するときは、まずバックアップを取り、練習用のコピーで変更点を確認するのがよいでしょう。公式には、移行内容を見るための次のコマンドもあります。
cf migrate --dry-run
既存のWrangler設定を残したまま、いきなりcf deployで本番公開しないようにしてください。設定の扱いが変わるためです。
費用は?AIに任せるときは何に気をつける?
cfを導入することと、その先で使うサービスの料金は別に考えます。例えばWorkersの料金には無料枠と有料プランがあり、契約や利用量によって費用が変わります。AIが操作しても、利用先の料金条件がなくなるわけではありません。
最初は「設定を見る」「命令を検索する」から始め、新しいサービスを作るときに無料枠・上限・課金条件を確認する進め方をおすすめします。
cfの便利さは、AIへの相談を実際の作業につなげやすくする点です。まずは自分のサイトの設定を説明してもらう。仕組みが理解できたら、小さな変更を確認しながら任せる。その順番なら、AIに任せる範囲を自分で判断しやすくなります。



